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2011.05.09 浜岡全炉停止
 「冷却材の減少,喪失,ECCSの故障,反応度の上昇等が考えられるし,最後の砦であるスクラムの失敗も考えられないではなく,炉心溶融事故の可能性も反応度事故の可能性もあるというべきである。いずれにしても,被告(北陸電力)が運転時の異常な過渡変化や事故の評価の前提としている機器の単一の故障や単一の誤操作に止まるものではなく,様々な故障が同時に,あるいは相前後して発生する可能性が高く,そのような場合,被告が構築した多重防護が有効に機能するとは考えられない。そうすると,その場合,本件原子炉周辺住民が許容限度を超える放射線を被ばくする蓋然性があるといわざるを得ない」

 まるで、今回の福島第一原発の暴走を予言したような判決文ですが、これは石川県にある志賀原発の2号機について、「電力会社の想定を超えた地震によって原発事故が起こり、住民が被ばくする可能性がある」として2006年3月、運転差し止めを命じた金沢地裁の判決です。原発の差し止めを求める住民訴訟はこれまで各地で起きていますが、訴えが認められた例はこの一件だけ。この判決も控訴審で覆り、結局、北陸電力の勝訴で決着しました。

 菅総理が静岡県の浜岡原発の全炉の運転停止を中部電力に要請しましたが、当然のことでしょう。国家的規模のリスク管理からみれば、明日発生してもおかしくない東海地震or三連動型巨大地震でもっともリスキィな位置に立地しているのが浜岡原発であり、万が一にでも、福島同様の事態に陥れば、東海圏はもちろん、首都圏の機能も完全に麻痺することは火を見るより明らかです。東海道新幹線、東名高速をはじめとするインフラ網も壊滅状態に陥るわけで、国家の存亡に直結することは確実です。

 「総理の単なる人気取り」「じゃ、他の原発はどうなんだ」と、批判の声もあるけれど、これをポピュリズムというのなら、それでOK。他の原発だって、むろん、危険要素はさまざまあるのだけれど、首都圏=国家中枢機能への影響度を考慮しながら、電力需給の当面の見通しとのバランスを考えれば、「浜岡のみの停止」という判断は、もっとも現実的な選択肢だったような気がします。

 今から20年ほど前に、浜岡原発のそばを通ったことがありました。宮城まり子さんが運営する「ねむの木学園」を訪ねた時のことです。学園の子どもたちの研ぎ澄まされたような作品の数々に触れながら、一方で、その近くに鎮座する原子力発電所の威容との間に、ザラっとした違和感のようなものを実感した記憶があります。

 それにしても、福島やその周辺の方々に耐えがたい苦渋と悲痛を強いるまで、金沢地裁判決や、「ねむの木学園」を訪ねた日のザラザラした感覚を思い出さなかった自分自身を、ただただ恥じるのみです。
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