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公田耕一…と言って、ご存じの人がどれだけいることでしょうか。
私が彼の存在を知ったのは、文芸春秋の今月号。三山喬さんが書いた巻頭のルポルタージュ「同志菅直人よ 私はホームレスに堕ちた」でした。この一文で三山さんは、横浜のドヤ街で古書拾いをしながら生きている、かつての菅直人総理の仲間の現状をレポートしているのですが、その中で同じ横浜でホームレス生活をしている公田耕一なる人物に触れています。
彼の名が知られるようになったのは、三年前の冬のことでした。朝日新聞の朝日歌壇に彗星のごとく現れた歌人としてです。

住所も本名も不明。もちろん経歴も年齢も明かさない彼からハガキで届く短歌が、毎週のように朝日歌壇に入選し始めます。
最初の入選作は
<柔らかい時計を持ちて炊き出しのカレーの列に二時間並ぶ>
柔らかい時計…とは、ダリの有名な作品のイメージもありますが、この歌では、空きっ腹=腹時計を指しているのでしょう。
以後、次々に入選を果たした作品は以下の通り。

<鍵持たぬ生活に慣れ年を越す今さら何を脱ぎ棄てたのか>
<水葬に物語などあるならばわれの最期は水葬でよし>
<パンのみで生きるにあらず配給のパンのみみにて一日生きる>
<日産をリストラになり流れ来たるブラジル人と隣りて眠る>
<親不孝通りと言えども親もなく親にもなれずただ立ち尽くす>
<百均の「赤いきつね」と迷ひつつ月曜だけ買ふ朝日新聞>

ちなみに、朝日歌壇は朝日新聞の月曜朝刊に掲載されます。

春の足音が徐々に大きくなってくるこの季節、例えようもない深い孤独に耐えながら、黙々と「いま」を生きる人々の姿に心を留めなければ、と思うことです。



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