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  98歳での処女詩集『くじけないで』でデビューした世界最高齢詩人の柴田トヨさんが亡くなりました。101歳でした。

 2010年に出版されたこの詩集は150万部を超えるミリオンセラーになり、一昨年3月の東日本大地震で被災した人たちへのメッセージは、絶望の淵をさまよう人たちを元気づけたことで知られます。「あと10年は生きられる自信がわいてきました」「心の教科書にしたい」など、読者からの感謝の手紙は半年間で1万件に達したといいます。

 トヨさんの詩が、まぜ、いま、多くの人たちの心を惹きつけてやまないのか。改めて読み返してみると、そのメッセージのほとんどが自己肯定、「いまの私」をまずは認めてあげることから始まっています。一時期、そう、バブルが弾け、そこそこに豊かなのだけれど、どこか心落ち着けて身を置く場所が見つからない、生きている実感、手触り感が希薄になっていく中で、若い人たちの間に「自分探し」という言葉が流行りました。

 どこかに「本当の自分」がいるはずだという想いは、裏を返せば、「今の私は、本当の私ではない。あるはずがない」という、ある種の自己弁明のような気もします。世の中が息苦しくなればなるほど、「本当の自分」という青い鳥を求めて、あてのない旅に出てみたくなる。その気分は、よくわかります。

 でも、トヨさんの詩は、「そんな無理をしなくても、いまのあなたは、そのままでいいのよ。そこに生きているだけで、十分にあなたは幸せだし、あなたを取り囲むすべてのものが、あなたを祝福してくれているのよ」。そう語りかけているような気もするのですね。不遇だったり、許せなかったり、心のやり場がないほど辛かったりすることはあっても、それでも、生きているってことは素晴らしい…そんなメッセージ。

《くじけないで》

ねぇ 不幸だなんて
溜息をつかないで
陽射しやそよ風は
えこひいきしない
夢は平等に見られるのよ
私 辛いことがあったけれど
生きていてよかった
あなたもくじけずに

****************

《秘密》
私ね 死にたいって思ったことが
何度もあったの
でも 詩を作り始めて
多くの人に励まされ
今はもう
泣きごとは言わない
九十八歳でも恋はするのよ
夢だってみるの
雲にだって乗りたいわ


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葬儀は24日、故郷・宇都宮市の川田市民ホールで行われるそうです。

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