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「子の言うことは八、九聞くな」

 親父の小言の四番目は、なかなか含蓄のある一言です。というか、ひと昔前なら、当たり前と思われていたことが、平成の御代では実に味わい深い格言になってしまった感がありますね。

 明治・大正時代の平均寿命は40歳前後でした。といっても乳幼児死亡率が高かったためで、実際に30代まで生き延びた人は50代くらいまでは生存していたようですが、それでも、現在の寿命から比べると30年もの開きがあります。この時代、小言を言っていた親父は概ね40代から50歳前後、その子供はせいぜい20歳代止まりだったはずです。世間知も身についていない、「駆け出しの大人」だったのだから、そんな子供の言うことなんか「八、九聞かなくて」当たり前でした。

 あれから100年余り。人の寿命は驚異的に伸びてしまいました。長く生きることが、本当に幸せなのかどうかはともかくとして、いまや親は100歳近く、子供も後期高齢者(嫌な用語です)というケースがあちこちで見かけられます。ちなみに、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると、あと50年経つと、日本人口は現在の1億2800万人から8700万人へ、65歳以上の高齢者の占める割合は23%から40%へと膨れ上がることになります。

一昨年の振り込め詐欺の全国被害額は約110億1,958万円で、前年比34%の増加となっています。「俺だよ、オレオレ」「お母さん……」「久しぶりだけど、覚えてるかな?」などと孫や子などを装った電話をかけ、「交通事故を起こして示談金が要るんだよな」などと金銭を騙しとる対象のほとんどは高齢の親。「子の言うことを聞かない頑固親父」だったら、「自分のことは自分で始末しろ」と一喝して電話を切るのでしょう。

 とはいうものの、こうした「なりすまし詐欺」以外にも架空請求詐欺、融資保証金詐欺、リフォーム詐欺、先物取引詐欺など、高齢者が狙われる犯罪は枚挙に暇がありません。老いの挙句に認知症や全身の不自由に苛まれ、それでもなお生きなければならない時代に、さて、「子の言うこと」を聞かずに済まされるものか。子の意見に耳を貸さない頑固親父が安心して暮らせる時代も、いまはむかし。長寿社会では「老いては子に従え」という格言の方が正しい振る舞いなのかもしれません。

 それにしても「長い人生の午後」を、どう生きていくべきなのか。他人事ではありません。
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