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2011.08.05 台風余波
 セピア色に変色した記憶の彼方…久しぶりに本棚から手に取ってみたのですが、若造のくせに何とも難しい本を読んでいたものだと、我ながら思います。

 「恐らく歴史のなかで、いまだ嘗て、ひとつの党内でこれほど多くのみ敵対がつくりだされた例はまだ一度もなかった。中世期のヨーロッパ全土に黒死病が名状しがたい恐怖をひきつれて横行したごとく、ほとんど理解しがたい死に方をも含めた、凄まじい死は党内の隈々まで徘徊した《やつは敵だ。やつを殺せ。》という古い政治の公式が毎日何処かの暗い隅で叫ばれ、曠野のなかの深い穴へ葬むられる黒死病の屍体に近いほど数多い無惨な死の顔が絶えずそこで眺められたが、さて、そのとき、《敵》とは何かについて真摯に考えつめたものがひとりもなかったとは、驚くべきことである」

 埴谷雄高著『幻視のなかの政治』の一節です。といっても、埴谷雄高を知っている人も、もう、少なくなったのでしょう。この本が中央公論社から出版されたのは1960年。私が購入したのは、それよりもずっと後ですが、ここで「ひとつの党内」と言っている党は、ロシア革命後に恐るべき変質を平然と行ったソ連共産党を指しています。

 「死」が横行しているかどうかは別として、現在のこの国の政権与党内の風景と重なる部分もあるから不思議です。そう、「敵」とは何かについて真摯に考えつめている者が一人もいそうもない…という部分。もちろん、ここでいう「敵」とは敵味方という意味での「敵」であると同時に、のっぴきならない局面に立ちいたっている重い現実であり、解決すべき課題を指してもいるのですが。

 公衆にアピールしたいという下心が見え見えで手のひらに「忍」の一字を記してみたり、泣いてみせたりする大臣がいたり、宰相に対して「あなたが泣いたら、私、別れるわ」などとのたまう夫人がいたり、先の見えないドタバタ田舎喜劇を演じている役者たちの舞台に幕はおりそうもありません。

 鹿児島は台風9号の余波で雨風が強くなってきました。暗く重い雲が東から西に向かって、地を這うような速度で動いています。

 明日6日は広島原爆忌…。

   原爆忌 川は流れてゆくばかり  稲畑汀子



 


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