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2012.09.28 安酒の酔い
今朝の朝日新聞に、作家の村上春樹さんが寄稿しています。尖閣諸島を巡る日中間の確執、緊張激化を受けての警世の一文といったらいいのでしょうか。

<領土問題が実務課題であることを超えて、「国民感情」の領域に踏み込んでくると、それは往々にして出口のない、危険な状況を出現させることになる。それは安酒の酔いに似ている。安酒はほんの数杯で人を酔っ払わせ、頭に血を上らせる。人々の声は大きくなり、その行動は粗暴になる。論理は単純化され、自己反復的になる。しかし、賑やかに騒いだあと、夜が明けてみれば、あとに残るのはいやな頭痛だけだ。そのような安酒を気前よく振る舞い、騒ぎを煽るタイプの政治家や論客に対して、我々は注意深くならなくてはならない>

村上さんは、そう記して、アドルフ・ヒトラーが、第一次世界大戦で失われた領土の回復を政策の根幹において、政権の基礎を固めたことを例にあげています。

ちまたの飲み屋で、井戸端会議で、多くの人たちが「中国は許せない」「あの国の連中は何を考えているのかわからない」と憤慨し、中には「一戦交えたらいいんだ」と放言してはばからない人まで現れています。枯れた麦わらにマッチで火をつけたような状態です。

だからこそ、この時期、国内はもとより中国や韓国、台湾など、東アジアの若者に大きな影響力をもつ村上さんの寄稿は、グラスの安酒を流し捨て、正気に戻すきっかけになってほしいと思います。


マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや 寺山修司
 


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